前回のおさらいではありますが、非定常(単位根系列)同士の時系列データを回帰分析したところで、その分析結果には「見せかけの回帰」が発生する可能性が信頼性は低くなってしまいますが、2つのデータが共和分関係にある場合はその限りではありません。
・共和分とは?
共和分とは、単位根系列(非定常な時系列データ)であると判断された複数の時系列の間で成立する概念で、一般に、単位根系列同士の線形結合は、非定常であり単位根系列ですが、線形結合の係数をうまく選べば、それが定常的となる場合があります。この共和分を応用した投資戦略としてペアトレーディングが有名です。
このとき、単位根系列の間には共和分の関係があるといいます。この現象を発見したのはグレンジャー教授であり、1981年の論文で発表されています。
もし2つの単位根時系列 (xt)と(yt)が共和分関係にあるのであれば、ある定数αと係数βで構成される回帰式:α+βx+vt の誤差項(vt)は定常になります。複数の単位根系列間の回帰に意味があるかどうかを調べるには、通常の有意性検定では不可能で、そのために共和分検定が行われます。
共和分検定とは?
グレンジャー教授が提案した方法は、「変数間に共和分の関係はない」という帰無仮説を、「変数間に共和分関係はある」という対立仮説に対して検定するという方法です。
もし 2つの単位根系列 (xt)と(yt)の場合であれば、まず回帰分析で回帰モデルを推定し、回帰の残差を計算します。
その上で、残差系列に対して単位根検定を行い、単位根があると判断されれば、共和分なしの帰無仮説が受容され、単位根なしと判断されれば、帰無仮説は棄却され、共和分関係があるという風に判定します。
他にも共和分検定には、古くからある「エラー・コレクション・モデル」が使えます。これは長期的な均衡関係から生じる誤差を短期的な関係で調整してゆくモデルで、このモデルが成り立てば共和分の関係にあるといえます。
追記:時系列分析については、この本がとても分かりやすかったので、もし時系列分析でつまずいている人は是非一度読んでみてください。
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