金融工学を勉強するにあたってまず知っておかなければいけないのが、ブラックショールズモデルというやつです。
このブラックショールズモデルというのは、金融工学の上では基礎中の基礎的な感じでよく話に上がりますが、その理論体系を理解するのは私みたいな文系からするとかなり厳しく感じました。(色んな参考書を読み漁って、高校の頃2Bまでしかやってなかった頭をフルに回転させて、なんとかブラウン運動とか微分方程式とか一通り理解できたつもり・・・です。)
参考書とかだと、まず式が先行して脳が理解することを拒否してしまうという方も多いと思うので、今回は超極力数式は使わずに解説していきたいと思います。(BSモデルの理論や式とかの詳しい話はコチラ)
B&Sモデルは、1973年にアメリカのフィッシャー・ブラック(Fischer Black)とマイロン・ショールズ(Myron Scholes)が共同で発表し、ロバート・マートン(Robert C. Merton)によって証明されたオプション価格評価モデルで、ヨーロピアンタイプ(満期日にのみ行使可能なオプション)のオプション価格を計算するモデルです。
このモデルは、計算に必要なデータ(株価、行使価格、期間、変動率、金利)は市場で入手できるうえ、計算にかかる時間が非常に短いため、今でも実務界で広く利用されています。
とりあえず細かい説明は省いて、このモデルを何ができるのかというとオプション価格の計算ができるのです。このモデルが発表された当時は、まだ金融市場に数学を応用されておらず、BSモデルはその第一歩でした。
このためBSモデルの発見者であるフィッシャー・ブラックは、のちにノーベル経済学賞を受賞しています。まあそれくらい凄い数式なのだからマスターすれば、投資で大儲けできるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、発見者の1人であるマイロン・ショールズと証明を行ったロバート・マートンが参加して設立した資金運用ファンドは大赤字を出して倒産しています。
なので、このモデルがそのまま使えるわけではなく、あくまで証券市場を数式で解き明かそうとした開拓者的な側面が強いです。一応フォローしておくと、決してブラック・ショールズ・モデルの理論自体が完全におかしいわけではないので、BSモデルの派生形が今もなお実務や分析でも使われていますし、研究も盛んです。
このブラック・ショールズ・モデルが何をできるのかというと、あるオプション商品の権利行使時価格を、株価、行使価格、期間、変動率、金利から計算できるのです。
ですが現実はオプション価格の算出よりも、この式を応用したインプライドボラティリティの計算することの方が多いです。
そして、ブラックショールズモデルの式はこんな感じです。
C(t,S): オプション価格の関数
t: 時間
S: 原資産価格(株価など)
K:満期時の価格
r: 無リスク資産の利子
σ: 資産価値の変動率
Φ:ガウス積分あるいは誤差関数
e:ネイピア数=2.71
eにrtという指数が付いているのは、時点 t で発生するキャッシュ・フローを、連続複利金利 r で現在価値に割引くためです。→【金融工学】 自然対数と複利計算
このモデルは前提として、数学や統計をやっていないとまず意味が分かりませんし、理論の途中で出てくる確率微分方程式に至っては大学教授レベルでちゃんと理解できる代物なので、理解できなくてもいいと思います。
ですが、とりあえずこのモデルの存在を知らないと金融工学モグリ同然なので、理解できなくても、こういうものがあるんだなぁというくらいは知っておいた方がいいと思います。
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